Day2・Day3 は、新しいリポジトリを Day1 と同様の手法で Fork して進めます。本書は事前セットアップの手順に加え、上流工程×AI のいま、設計書を読む観点、参照すべき情報源、一般的な基準までまとめた一冊です。生成待ちの時間に読めば、検証の質が上がります。
Day2 は Day1 の設計書を実装に落とす日です。全部を実装しきる日ではありません。1 本を深く実装し、生成物を自分で検証して判定できる状態をめざします。
| ファイル | 内容 |
|---|---|
docs/requirements.md | 要件定義書。MoSCoW 分類、SLA 定義、状態遷移規則、要確認事項の解消経緯 |
docs/data_model.md | ER 図、状態遷移図、カラム定義、インデックス方針 |
docs/openapi.yaml | API 仕様、エラーコード一覧、認可仕様 |
docs/sequence_diagrams.md | 起票・状態遷移・SLA 違反の3シーケンス図、層責務の分担表 |
この研修の検証サイクルが、なぜ「いまのトレンドの本流」なのかを先に共有します。
Day2 の検証サイクル(設計書を正に AI 生成物を照合して判定)は、この「仕様駆動 × Agentic SDLC」の本流です。速く作ることより、出力を設計に照らして判定できる力が、いま市場で評価されます。出典は末尾の参照一覧に記載しています。
Day2・Day3 は、第1回とは別の新しいリポジトリで進めます。受講者全員が Day1 完成版の設計書から再開します。git コマンドの入力や、ファイルの上書きはありません。第1回のリポジトリは別リポジトリとしてそのまま残ります。
完了すると、Day1 完成版の設計書(docs/ 配下)が入った自分用リポジトリが手元に用意できます。
| 状況 | 確認すること |
|---|---|
| リポジトリの URL が分からない | 事務局または講師に確認してください |
| 「Fork」ボタンが見つからない | リポジトリ画面の右上、Star ボタンの近くにあります |
| Fork できたか分からない | 画面左上のリポジトリ名が「自分のアカウント名/…」になっていれば成功です |
| VSCode への取り込み方が分からない | Day1 の事前セットアップと同じ手順です |
表で解決しないときは、この資料の PDF を Claude Code に添付し、次のように送信してください。今の状況に合わせた操作を案内します。
Claude の案内でも解決しない場合は、無理に進めず、その旨を控えておいてください。Day2 開講直後の冒頭セッションで、講師が画面を共有しながら一緒に対応します。事前に完了していなくても受講には支障ありません。
Day1 でいただいた声に対して、Day2 で何を変えたかを共有します。
| Day1 でいただいた声 | Day2 での対応 |
|---|---|
| 生成物が多く、検証しきれない | 1 ブロックごとに題材専用チェックリストで判定する「検証サイクル」を導入。生成量も削減 |
| 出力の妥当性を確認できず、説明責任が持てない | 生成前に正解条件と設計書の根拠を言語化。Session 07 で説明ドリル |
| 進行が速く、理解が追いつかない | 全エンドポイント実装をやめ、1 本を深く。残りはレビュー主体に変更 |
| トークンを想定以上に消費した | 3 層を 1 プロンプトでまとめず、1 ファイル単位で依頼。Session 07 で実測を振り返り |
| 用語が多く、Claude に不慣れ | 用語が初出する箇所に最小 Tips を挿入。本書末尾にも用語の早見表 |
| ターミナル操作に迷った | Day2・Day3 は Fork 方式に変更し、git コマンド入力をなくした |
「プロンプトを打つ → 出力を Apply する → 次へ」は繰り返しません。1 ブロックごとに次の 4 ステップを回します。
「レビューしきれない」は、見る観点が言語化されていない状態です。STEP 1 で正解条件を書けば STEP 3 で見る箇所が決まります。「説明責任が持てない」は、根拠の出どころを追っていない状態です。STEP 1 で設計書のどこ由来かを指せば、根拠を示せます。
生成物を判定するには、設計書を「どの観点で読むか」が決まっている必要があります。本研修で使う 5 観点です。
requirements.md の項目が実装に反映されているかdata_model.md のカラム・型・PK/FK と実装が一致するか。勝手な列の追加がないかopenapi.yaml のパス・スキーマ・エラーコードと一致するか。REST の原則(リソース指向、適切なステータスコード)に沿うか非機能要件は思いつきでなく ISO/IEC 25010 のシステム/ソフトウェア品質特性(機能適合性・性能効率性・互換性・使用性・信頼性・セキュリティ・保守性・移植性)の枠で抜けを確認すると、観点の漏れが減ります。
判定に迷ったとき、どの情報を「正」とするか。優先順位を固定しておくとぶれません。
| 優先 | 情報源 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 1 | docs/ の設計書 | この題材の正。要件・データ・API・シーケンスはここを最優先 |
| 2 | CLAUDE.md | 技術スタック、ディレクトリ構成、3層の依存方向、禁止事項 |
| 3 | 公式ドキュメント | Claude Code / FastAPI / SQLAlchemy / pytest の正しい書き方 |
| 4 | 標準仕様 | OpenAPI 仕様、REST の一般原則、ISO/IEC 25010 の品質特性 |
ヒアリング本編と補足・制約書で値が違う箇所があります(レスポンス「3 秒」対「1 秒」など)。後出しの確定値(補足・architecture_constraints.md)が正で、解消経緯は requirements.md 第8節にあります。気づけたら Day1 で扱った「情報源の突き合わせ」の成果です。
SLA だけでなく、判定に使う一般的な基準をまとめます。生成待ちにここを確認しておくと検証が速くなります。
| 優先度 | 初回応答 | 解決 |
|---|---|---|
| high | 30 分以内 | 4 時間以内 |
| medium | 4 時間以内 | 1 営業日以内 |
| low | 1 営業日以内 | 3 営業日以内 |
営業時間は平日 9:00-19:00。営業時間外と土日祝は経過時間に数えません。全優先度で同じ閾値なら、公開デモと同じ誤実装です。
研修で使うツールの現在地です(2026 年 5 月時点。出典は末尾)。
モデルとツールは「コードを書く」から「開発を進めるエージェント基盤」へ重心が移っています。だからこそ、出力を設計に照らして判定し説明できる人の役割が、相対的に重くなります。Day2・Day3 はその訓練です。
3 層を 1 プロンプトで生成させると、Claude が app/ 全体を読み直して差分が長くなり、読み返せないまま消費が増えます。範囲を 1 ファイルに絞ると、読む量・出る量・修正回数が減ります。
生成前に「正解条件」を 1 行書くと、レビューで見る箇所が決まります。観点を先に言語化していないと、出力に引きずられて「それらしいので OK」と流してしまいます。
「AI が出したから正しい」ではなく「要件に照らして自分が判定したから正しい」と言える状態をめざします。根拠を docs/ のどこに書いてあるかで示せれば、上司にも説明できます。
Day1 で観察した公開デモは、title 未検証・状態遷移無検証・SLA 一律1時間という改善余地を意図的に含んでいます。Claude が同じ誤りをしないか、検証で確かめます。
Apply して次へ、を繰り返すと検証できる量を超えます。1 ブロックごとに STEP 3・STEP 4 を必ず通してください。Day2・Day3 は Fork 方式のため、git コマンドやファイル上書きの操作はありません。
手が止まったとき、待ち時間に目を通しておくと迷いが減ります。
| 用語 | これだけ押さえる |
|---|---|
| Swagger UI | 実装した API をブラウザから手で叩く画面(/docs)。Try it out → 入力 → Execute で結果を確認 |
| SLA | 対応の時間目標。優先度ごとに初回応答・解決の時間が決まり、超過を違反として検出 |
| ruff | コードの書式・規約チェッカー。CI で自動実行、違反で赤 |
| mypy | 型の整合性チェッカー。CI で自動実行、違反で赤 |
| uvicorn | FastAPI アプリを起動するサーバー。uvicorn app.main:app --reload |
| pytest | テスト実行ツール。pytest tests/ -q |
| Agentic SDLC | AI が複数の開発工程をまたいで仕事を進める考え方。人は検証・判定を担う |
| 3層 | router=HTTP受け口、service=業務ロジック、repository=DB操作。依存は router→service→repository の一方向 |
| 場所 | 何を見るか |
|---|---|
docs/requirements.md | 要件、SLA 定義、状態遷移規則、要確認の解消経緯(第8節) |
docs/data_model.md | カラム・型・PK/FK・index |
docs/openapi.yaml | エンドポイント、スキーマ、エラーコード |
docs/sequence_diagrams.md | 3 ユースケースの流れ、層責務 |
docs/architecture_constraints.md | 非機能要件(レスポンス、可用性、保持期間、イメージサイズ) |
CLAUDE.md | 技術スタック、構成、3層の依存方向、禁止事項 |
1 本の API を設計書から実装し、生成コードを設計書と照合し、実装の根拠を説明できる状態。残りの実装は Claude に任せ、レビューに回ります。この力が、いまの上流工程で最も問われています。